内痔核(いぼ痔)

痔の種類

そもそも痔とはどんな状態でしょうか?

お尻の血行が悪くなってむくんで腫れた状態という表現がわかりやすいかと思います。
※組織がすべりだしてくる説など、色々な説があります。

実は誰でも(中の)「いぼ痔(の元)」は多少あります。それが「症状としてでてくるか」どうかが重要なのです。

中(内痔核)が腫れても痛くありませんが、外(外痔核)が腫れると痛いです。

普段は、特に症状がないけど「力んだ時」など「お尻に負担がかかった時」だけ「出血する」「脱出する」などの症状が出てくる方も多いです。

では、どんな時に悪くなるのでしょうか?

一般的には、「便秘下痢などでお尻に負担がかかった時」、「立ちっぱなし座りっぱなし同じ姿勢でいる時」(1日立ちっぱなしだと夕方足がむくんでくるのと一緒のイメージでお尻も腫れやすいです)、「冷え」や、「腹筋を使う運動」や、「お酒」などでも腫れますが、特に原因なくなぜか疲れた時に腫れてしまう方もいらっしゃいます。

内痔核(中のいぼ痔)は症状により4段階に分かれていますが、一度そうなったら戻らないというわけではなく、よくなったり悪くなったりします。

では、どのような方が治療が必要でしょうか?

一般的には2度までの内痔核(出血のみ、脱出するけど自然に戻る等)までは注射療法、3度(脱出して手で戻す)以降は入院しても切除手術が適応と言われていますが、基本的には「絶対手術をしなくてはいけない」という状態はありません。

薬を使っても痛みや出血がコントロールできない場合は、(注射療法を含む)手術も選択肢になります。

ただし、「大体はいいけど、月に数回症状が出るけど軟膏を使えば治る」程度の方の場合は、それも一つの治療の選択肢です。 それを一生続けていただくことも選択肢にはなりますが、さすがにほぼ毎日使用している方は積極的な治療(注射を含む手術治療)を選ばれる方も多いです。

(血栓性)外痔核

痔の中に「血豆」ができた状態です。

そもそも痔とはどんな状態でしょうか?

お尻の血行が悪くなってむくんで腫れた状態という表現がわかりやすいかと思います。
※組織がすべりだしてくる説など、色々な説があります。

実は誰でも(中の)「いぼ痔(の元)」は多少あります。今回はそこが原因ではなく、外側の痔の部分が原因。 中(内痔核)が腫れても痛くありませんが、外(外痔核)が腫れると痛いです。

元々外側(きわ)にできたものなので戻そうとしてもすぐにまた出てきます。そのまま萎んでいくのを待ちます。

では、どんな時に悪くなるのでしょうか?

一般的には、「便秘下痢などでお尻に負担がかかった時」、「立ちっぱなし座りっぱなし同じ姿勢でいる時」(1日立ちっぱなしだと夕方足がむくんでくるのと一緒のイメージでお尻も腫れやすいです)、「冷え」や、「腹筋を使う運動」や、「お酒」などでも腫れますが、特に原因なくなぜか疲れた時に腫れてしまう方もいらっしゃいます。

話は戻りまして、この血豆、具体的な病名は「血栓性外痔核」です。イメージとしては「手にできた血豆」と一緒です。

ゆっくり腫れるとあまり痛くありませんが、「昨日まで何もなかったのに今日急にできてた!」という場合は結構痛いです。 痛みのピークは数日内で、徐々に血豆が溶けて小さくなっていきます。薬なしでもいつかはなくなりますが、痛いのでその間は軟膏治療をおすすめします。

最終的にはしこり(芯みたいのもの)が消えるまで1-2ヶ月かかることもありますが、必ずなくなります。

この痛み違和感には市販の軟膏ではたちうちできないことも多いので、受診して頂いて大正解です。かなりよく軟膏が利きます。

この血栓は、だんだん痔が悪くなってきたのではなく、もともと何の痔の症状もない方にも単発的にポンっとできるもので、必ず治りますので安心してください。風邪みたいなものです。

ただし、ものすごく痛くて生活もできないくらいしんどい場合はその場で切除(手術)も選択肢です。

予想されうる経過についてですが、「お相撲さんがダイエットして中身の肉がなくなっても表面の皮膚だけヒダヒダが残る」ようにお尻にも少しヒダヒダが残ることがあり、皮垂(スキンタグ)と言います。

残っても全く問題ありませんが、「見た目的に気になる」「拭きづらい」場合は後日手術で切除も可能です。

2ヶ月程度経過して、「痛みも違和感もしこりもないけど、風船がしぼんだようなつまめる皮膚がどうしても気になる」場合はご相談ください。 

スキンタグ(肛門皮垂・肛門周囲余剰皮膚)

基本的には「(余分な)皮膚」で、あっても大丈夫です。大前提として、取る必要は全くありません。

色々な理由でできますが、①「痔が腫れる治るを繰り返しているうちに、徐々に 皮膚が伸びきってしまい縮まなくなってできる」場合(イメージとしてはお相撲さんがダイエットしても皮膚だけヒダヒダが残ってしまう状態と一緒)や②「切れ痔を繰り返しているうちに、切れ痔の傷の両端がタコのように盛り上がってきてしまい、皮膚の突起として残る」場合があります。この2つの原因がほとんどです。肛門手術のあとにできることもありますが…。

※②の場合は、正確には「見張りイボ」と言います。小さければ問題ありませんが、切れ痔を繰り返していて大きくなると中の切れ痔も治りづらくなる場合があるので、その場合は積極的に切除したほうがいいケースもあります。

「見た目的に気になる」、「お尻がでこぼこしているから拭きづらくて、拭きすぎて、かぶれてしまう」という場合、切除(手術)という選択肢もあります。

では治療したい場合はどうすればよいでしょうか?

「完全に見た目が気になる」だけの場合、どちらかというと「美容外科手術(自由診療)」の範疇の疾患なので、自費治療になりますが美容外科での治療になるかと思います。

ただし、ときどき外痔核になるスキンタグもありますし、これらの定義に厳密は境はありません。広い意味では「痔の残がい」とも言える場合もあり、手術ご希望があれば、一度ご来院の上、ご相談できればと思います。

注意点として、切除しても今後の再発を完全に予防するものではなく、術後も「痔が腫れる治る」や「切れ痔」などを繰り返していれば、徐々にまた出来てくることもあります。また術後も腫れやすく、患者様の求める術後の仕上がりの美容的レベルが高かったり再発しやすかったりすることから多くのクリニックでは手術を希望しても断られることも多いようです。

今までそのような患者様を多く拝見してきており、術式の工夫で術後も腫れにくくする等、なんとか皆様のお力になれればと思っております。

裂肛

「お尻のきわから中にかけてできた擦り傷」で、基本的には注入軟膏で1-2週間で治ります。

ただし軟膏だけでは治りづらい場合もあります。

①便の問題です。便秘下痢を繰り返している方は、いくら頑張って軟膏を注入し続けていても、一瞬で元に戻ってしまいます。

②肛門の問題もあります。「切れ痔を繰り返しているうちに、切れ痔の傷の両端がタコのように盛り上がってきてしまい、皮膚の突起として残ってしまうこと(お尻の硬いデコボコ)」があります。正確には肛門の中にできたものを「肛門ポリープ」、外にできたものを「見張りイボ」と言います。

小さければ全く問題ありませんが、切れ痔を繰り返している場合に大きくなりすぎると中の切れ痔も治りづらくなる場合があるので、その場合は積極的に切除したほうがいいケースもあります。

注入軟膏

もうひとつの肛門側の問題として「肛門狭窄(肛門が狭くなる)」があります。切れる治るを繰り返しているうちに肛門が狭く硬くなってしまうのです。便の太さに応じて、肛門が伸び縮みできないので、表面が突っ張り、裂けてしまいやすくなります。

傷のデコボコや狭窄が起きた場合には、場合によっては手術をしたほうがいいケースもありますので、注意が必要です。

ただし一般的には切れ痔のうち9割の方は軟膏治療で治ると言われています。

切れ痔の手術には、狭くなった部分を拡げる手術やデコボコした傷をなだらかな治りやすい傷に治す手術などがあります。

肛門周囲膿瘍/痔瘻

基本的には肛門周囲膿瘍から痔瘻が形成されます。女性の痔瘻の発症率は肛門疾患全体の1割以下と非常に少ないです。

肛門周囲膿瘍とは?

下痢や免疫の低下などで、肛門陰窩という部分からお尻の周りにかけて菌で膿んでしまう状態。裂肛からの感染やクローン病に由来することもあります。 基本的には、手術(切開)で膿を出す必要があり、放置するといずれパンパンになり破裂します。

肛門周囲膿瘍から痔瘻(膿のトンネルが残る)になるのは、様々な報告がありますが、約半数と言われています。 痔瘻になったら、いわゆる痔瘻根治術が必要です。

痔瘻とは?

肛門周囲膿瘍の後、膿のトンネル(瘻管)が形成された状態です。一般的には痔瘻になると手術をしないと治らないと言われています。

深さや場所によりいくつかのタイプにわけられ、術式は本当に多岐にわたり、施設により特徴もあります。それぞれの術式にメリットデメリットがあり、痔瘻の深さや場所や患者様の希望など総合的に考えて術式を決めていきます。

しかし日帰り手術ですべての痔瘻に対応できるわけではなく、状態により適切な入院施設、肛門科医師へご紹介致します。心配な症状がある方は一度受診を。

かゆみ

どうやら「かゆい」という症状は「出血」「痛み」よりも受診するのが恥ずかしいと思われている方が多いようです。

「何年も市販薬で粘ってきたけど治らずもう限界」といらっしゃるケースも少なくありません。

①きれいにしようと頑張って洗い過ぎる→②皮膚が弱くなりバリア機能が低下→③(湿疹を含め)様々な皮膚トラブルが起こる、となります。 中には寝ている間に無意識に掻きむしったりして悪循環に陥ることも。

「洗い過ぎ」以外の原因としては、「夏場やずっと同じ姿勢でいることで蒸れる」、「石鹸が合わない、下着が合わない、おしりふきに含まれるアルコールが合わない等、合わないものとの『接触』によること」も。カンジダを含む肛門部の感染症、肛門がんなどやストレスが原因のこともあります。

さてこのかゆみ、どのように治すのでしょうか?

ほとんどの場合、「洗い過ぎ・拭き過ぎ」に気をつけ、病院で処方される軟膏を使用することで長年の悩みが解決します。

市販薬でも治らなかった方も病院で処方される薬で治ります。

実は市販薬に含まれる成分等で逆にかぶれが悪化することもあるので要注意です。

お尻がスキンタグなどでデコボコしていて拭きづらくて拭き過ぎてしまうという場合、お尻の形を整える手術もありますので、ご興味がある方は一度相談を。